臨床応用を指向したメカニズムに基づく抗菌薬の動的PK/PDモデルの構築と評価
【研究キーワード】
抗菌薬 / PK/PD理論 / シミュレーション / PKPD理論 / 動的PK/PDモデル
【研究成果の概要】
抗菌薬を投与する際は、薬物動態/薬力学(Pharmacokinetics/pharmacodynamics:PK/PD)理論に基づき、PK/PD目標値を達成可能な投与量設計を行うことが重要であることが実臨床において広く受け入れられている。しかし、PK/PD目標値の多くは抗菌薬の投与を受けた患者の治療成功確率とその時の血中濃度の相関性から設定されていることがほとんどであり、クリアランス、消失半減期などのPKパラメーター、および殺菌速度定数などのPDパラメーターからボトムアップ的に推定する方法論はほとんど採られていない。そのため、腎機能や肝機能が低下した患者、血液浄化療法が導入された患者など、PK特性が極めて特殊なために、一般的に用いられているPK/PD目標値を達成する投与設計が困難な患者において、PK/PD理論を応用することは非常に困難である。
本研究の目的は、抗菌薬のPK/PD目標値を基本的なPKおよびPDパラメーターの関数として記述することで、様々なPK特性を有する患者における最適なPK/PD目標値を推定する可能な方法論を提案することである。本研究の完成により、これまで困難であった重度腎障害患者や血液浄化療法導入患者など、薬物動態特性が極めて特殊な患者に対するPK/PD理論の応用が可能となることが期待される。
2021年度は、研究計画に則り、研究対象となる抗菌薬のPDパラメーターを学術論文から収集すると共に、MATLABを用いたPK/PDシミュレーションを実施した。その結果、一部の抗菌薬について、健常成人におけるPKパラメーターおよび文献より収集したPDパラメーターから、臨床的に決定されたPK/PD目標値を再現することができた。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)