ナノ構造をもつ層状強誘電体薄膜を用いた超高蜜度メモリの作製
【研究分野】無機材料・物性
【研究キーワード】
ナノ構造 / 層状強誘電体薄膜 / 超高密度メモリ / ナノトラック / エピタキシャル成長 / 層状強誘電体 / ドメイン / プローブ
【研究成果の概要】
層状構造強誘電体は、強誘電体層と絶縁体層が積層した"自然超格子構造"による"ナノ構造"を持っている、この層を分極軸が存在する垂直方向に立てることができれば、厚さ0.4mmの絶縁体に分離された、0.5-2.0nm幅の強誘電体細線(トラック)ができることになる。申請者は薄膜の配向制御について検討した結果、この構造の作製に世界で初めて成功した。細線の一つ一つに情報を書き込むことができると、細線方向を従来の走査型プローブ顕微鏡等による書き込みで行っても、100nm毎の書き込みは十分可能であるので、10Tbit/inch^2以上の超高密度記録が可能となることが示唆された。
初年度は強誘電体を用いた高密度記録媒体を実現することを目指して研究を行った結果、以下の結果を得た。
1)Bi層上強誘電体のうち、層間の8面体の数がそれぞれ2、3および4個のSrBi_2Ta_2O_9,Bi_4Ti_3O_<12>、Sr_4Bi_3Ti_4O_<15>のについて、層を垂直に立てた薄膜の作製に成功した。
2)塩酸によるエッチングを試みた結果、SrBi_2Ta_2O_9のみがBi層を選択的にエッチングできる可能性があることを見出した。
次年度は、強誘電体を用いた高密度記録媒体を実現することを目指して、以下の2点について成果を得た。
3)得られた薄膜の評価およびドメインの書き込みと読み出し評価
得られた薄膜は表面の凹凸が大きく、これは、a/b軸方向の結晶成長速度がc方向より10倍以上大きい結晶異方性に依存していることを明らかにした。また、現状ではプローブを使っての読み書きは可能なものの、書き込みの集積度を上げるためには、平坦な薄膜を得ることが不可欠との結論に至った。
4)配向制御によるドメイン構造の制御
成長させる基板の結晶構造を制御することによって、c軸を面内に配向させた上で(100)/(010),(110),(230)/(320)等の配向が作り分けられることを明らかにした。これによって、ドメインを制御した薄膜作製が可能になった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
水谷 惟恭 | 東京工業大学 | 大学院・理工学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2003 - 2004
【配分額】11,600千円 (直接経費: 11,600千円)