ガン細胞が取り込んだ非放射性薬剤から電子線を放出させ患部のみを照射する技術の開発
【研究分野】医用システム
【研究キーワード】
低侵襲ガン治療 / 吸収線量 / 放射線増感剤 / オージェ電子 / X線吸収端 / 単色X線 / 荷電粒子励起X線放出 / 静電加速器 / 深部ガン治療 / 抗ガン剤 / ナノ粒子増感剤 / ポリマーゲル線量計 / 陽子線 / 特性X線 / 二次電子 / 液体シンチレーター / 電子増倍型CCDカメラ / イメージングプレート / 癌 / 放射線 / X線 / 量子ビーム / 加速器 / 浸潤性ガン治療 / ナノ粒子 / モンテカルロシミュレーション / 陽子線励起準単色X線 / 注射針 / 金ナノ粒子 / K吸収端 / 陽子線励起特性X線 / 金属微粒子 / 半導体X線検出器 / 液体シンチレータ
【研究成果の概要】
一般にガンの放射線治療においては,ガン細胞だけでなく正常細胞も照射を受けるため,副作用として放射線障害が発生する.しかしガン細胞に重元素を含む非放射性薬剤を取り込ませた後,適当なエネルギーの単色X線を照射すると,重元素から多量の二次電子が発生して,がん細胞のみを内部照射できる.この方法の実現可能性を調べるため,重元素を模擬した金属薄膜に陽子線励起単色X線を照射し,薄膜周辺の線量分布を測定したところ,薄膜の周りで線量が大きく増加していることが分かった.よってガン細胞が取り込んだ重元素の周りでも二次電子による同様な線量の増大が期待でき,この方法が新しい低侵襲ガン治療技術に発展する可能性が示された.
【研究の社会的意義】
工学的には原子核反応に比べてはるかに容易に実現できる原子過程を利用してホウ素中性子捕捉療法(BNCT)と同様な効果を実現する点に意義がある.また通常の医療用連続X線に代え,陽子線励起単色X線によりガン細胞が取り込んだ目的の原子のみを電離し,正常組織への影響を抑える点がポイントである.原理的に重粒子線治療やBNCT等と比較して低コストであり,開発が進めば広く普及する可能性がある.高浸潤性ガンの治療という極めて要請の強い技術分野であり,社会的意義は大きい.また加速器技術に関係しており,医療機器産業のみならず電気電子,重電,原子力等の分野の需要を刺激し,新たな産業分野を生む可能性も期待できる.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
長谷川 純 | 東京工業大学 | 科学技術創成研究院 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
近藤 康太郎 | 東京工業大学 | 原子炉工学研究所 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究協力者】 |
福田 一志 | |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2013-04-01 - 2019-03-31
【配分額】18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)