AIによる心電図波形自動解析手法の高精度化に関する研究
【研究キーワード】
深層学習 / 心電図 / 医療AI / 診断支援 / 機械学習 / 心電図自動解析 / 早期リスク検知 / ビッグデータ / 心臓超音波検査
【研究成果の概要】
本研究は、既存の心電図計による所見自動付与の精度向上のため、深層学習を用いた心電図波形自動解析手法を開発することを目的としている。
昨年度まで、東大病院の循環器内科をを受診した患者を対象とし、研究代表者らがこれまでに開発してきた標準12誘導心電図波形に対するCNNを用いた自動解析手法である One-Shot Screening手法の改良を行ってきた。提案手法は、心拍毎にカットし重ね合わせた波形画像を12誘導それぞれに対してCNNで学習し、第2段階目で全ての誘導を統合して判定する、というフレームワークを基本としている。これまで、正常・異常の2値分類タスクで正解率87%、また重症度の高い所見、あるいは 境界域異常所見では高精度に判定可能である、という結果を得ているが、様々なモデルの違いによる大幅な精度向上は見られず、2値分類タスクという点では、一定の精度の限界を迎えたと考えられた。そこで本年度は、あらゆる種類の所見を対象とするのではなく、左室肥大などの個別所見に対する学習モデルの開発を行った。全12誘導の波形画像とそれらの重ね合わせの仕方(左・中央・右寄せ) によって36種類の画像が入力候補となるが、全てをCNNに通した結果を統合するモデルではGPUメモリの限界のため計算が行えない。そこで、左室肥大など個別所見の予測へ寄与度が高かった上位12種類の画像のみに絞ったモデルを作成することで、1つのモデル内で対象波形画像の情報を全て統合し学習することが可能となった。また各種ハイパーパラメータ調整により正解率96%、F1値0.70まで精度が向上してきている。次に心電図計による自動付与所見ではなく、心臓超音波検査データによる診断結果を正解データとした再学習については、新型コロナ禍の影響にて中途で研究の進捗が遅れ、十分に完了しなかった。延長を経た最終年度でモデルの完成へ進む予定である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
藤生 克仁 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 特任准教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)