新規アルツハイマー病薬開発に向けた脳内アミリン受容体信号の研究
【研究キーワード】
アミリン / アミロイドベータ / アルツハイマー病 / 糖尿病 / 遺伝子改変マウス / 5XFAD
【研究成果の概要】
アルツハイマー病(AD)は糖尿病患者が患う確率が高く、第3の糖尿病とも言われるが、その理由は明らかではない。研究代表者はカナダ・アルバータ大学との国際共同研究を行い、糖尿病患者から特異的に抽出されたアミリンと、ADの原因とされるアミロイドベータとの両方が、脳内のアミリン受容体を通して認知機能を低下させることを発見した(J Neurosci. 32(48):2012:研究代表者が第1著者)。
本研究では、そのアミリン受容体が脳内でどのような影響を及ぼすかを、遺伝子改変マウスを用いて詳細に調べる。具体的には、1.脳内アミリン受容体信号を制御する受容体結合物質(リガンド)の構造解析、2.脳内アミリン受容体信号による海馬認知機能低下のメカニズムの解明、を軸に研究を進める。
1.は研究協力者であるカナダ・アルバータ大学のジャック・ジャマンダス教授との国際共同研究を行う。また2.は、国内の研究分担者(京都大学 井上明男、東京大学 伊藤公一、東京慈恵会医科大学 山澤徳志子)らと、電気生理学的手法、蛍光イメージング、マウス行動実験、小動物用MRIなどを駆使して行う。
本研究課題は現代の飽食に起因する生活習慣病である糖尿病が、認知機能にも悪影響を与える明らかな証拠であり、社会的意義は大きい。研究代表者が勤務する山口東京理科大学を脳内アミリン研究の日本での研究拠点とし、この課題を国内外との共同研究を通して創薬に繋げたい。
本年度はカナダとの国際共同研究の成果を、科学論文として発表できた(Mol Neurobiol. 2021:58(10):研究代表者が第2著者)。今後は国際学会で、これらの知見を公表していきたい。一方、国内での研究はコロナウイルスまん延の影響で出張実験が滞り、研究の進度は大幅に遅延している。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
伊藤 公一 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 特任准教授 | (Kakenデータベース) |
井上 明男 | 京都大学 | 医学研究科 | 非常勤講師 | (Kakenデータベース) |
山澤 徳志子 | 東京慈恵会医科大学 | 医学部 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)