磁性ナノ粒子-生体分子間相互作用による磁気緩和の変調と高感度バイオセンシング
【研究キーワード】
磁気バイオセンシング / 磁性ナノ粒子 / 磁気緩和 / 分子間相互作用 / データ分析
【研究成果の概要】
生体分子である核酸、タンパク質、糖鎖、脂質と相互作用する仕組みを付加した酸化鉄ナノ粒子を作製し、各種生体分子と相互作用する様子を、形態的、光学的、磁気的に評価した。また、交流磁化計測装置開発においてはより高感度な計測回路の設計指針を示すことができた。加えて、計測した交流磁化の周波数特性の結果を解析する手法としてデータ科学に基づいた方法を開始し、その有効性を示すことがでた。
DNA検出用磁性ナノ粒子プローブ開発においては、10塩基の単鎖DNAをプローブとして磁性ナノ粒子に固定化するプロセスを確立し、より分散性を向上させる溶液条件を明らかにした。創製した磁性ナノ粒子プローブを用いて22塩基のマイクロRNAを模したDNAと相互作用が起こることを交流磁化計測から明らかにした。その検出レベルは感染症などの検査のためのPCRにおいて検出する核酸のレベルと同等、あるいはより高感度になる可能性があることがわかった。
交流磁化計測装置開発においては、生体分子と磁性ナノ粒子プローブとの間の複雑かつ不均一な生化学反応を交流磁化状態の分布計測を実現するための計測回路について検討した。詳細な分布計測のためには交流磁化の周波数特性において数1000点レベルの大量のデータが必要となるが、周波数をスキャンしながら高速で計測するための回路においてコンデンサなどの電子部品で回路のインピーダンスを調節することが有効であることを明らかにした。
交流磁化の周波数特性において磁性ナノ粒子の磁化状態分布を解析するために、フィッティングや主成分分析を導入し、昨年度まで行っていたゲル中の磁性ナノ粒子の振舞を解析することにおいて、その有効性を示した。またより複雑な磁性ナノ粒子と高分子との相互作用について、その解析に適用できる可能性があることも示した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)