心理学研究における中級程度のベイズ統計学の教授法に関する研究
【研究キーワード】
ベイズ的アプローチ / 教授学習系列 / 尤度 / 授業評価 / 自由記述データ / 項目反応理論 / IRT / 特異項目機能 / DIF / 統計的仮説検定 / 帰無仮説 / ベイズモデリング / 下位集団 / 心理統計で何を教えるべきか / 研究仮説が正しい確率 / 有意性検定 / 研究の事前登録 / ベイズ推論
【研究成果の概要】
本研究では、ベイズ的アプローチによる心理学に特化した教授学習系列を作成する。ベイズ的アプローチが心理学研究の一翼を担うためには、入門的教材と研究実践例をつなぐ教材が是非とも必要である。本研究では、それに相当する最初の2単位を終えた直後の2単位に相当する教授学習系列を作成する。尤度を使って現象を考えるという心理学研究のパラダイムを展開する。これは有意性検定の手続きを暗記し、当てはめ、有意水準を超えたか否かを判定するという、現在主流の心理学研究のパラダイムを180度転換する思考法である。今年度は教授学習系列の前半を公刊した。このことは研究の半分が成功裏に完遂さえたことを意味する。
その学習系列は文科系の大学生が読むことのできる内容である。微分と積分を使っていない。必要とする数学的予備知識は高校数学Iである。扱うテーマは、1変数/2群の差/1要因/2要因/比率/分割表の分析。統計学の入門教程の内容としては、極めてオーソドックスで、何の変哲もない。しかし、本学習系列は極めて独自である。国内外を見渡しても、2022年現在、類似した学習系列は1つもないと言って過言でない。
また教育心理学研究誌に、ベイズ的に授業評価の自由記述データを分析するための「非復元抽出形式 での授業評価における学生が重要視する知見の寡占 度・飽和度の計算 ――ジップ分布を用いた分析――」を採択していただいた。同様の手法を用いた研究を、米国サイコメトリックソサエティで、「Proposal for calculating encounter rate in qualitative research」というタイトルで口頭発表した。
日本心理学会では「Shiny 入門心理統計の授業中にGUIのwebアプリを作って遊ぼう」
というチュートリアル・ワークショップを行った。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2024-03-31
【配分額】3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)