有機金属分子ワイヤーの配位子設計に基づく非対称分子ジャンクションの開発
【研究キーワード】
分子ダイオード / 分子ワイヤー / ルテニウム / 分子エレクトロニクス / 分子ジャンクション / 有機金属錯体 / 非対称
【研究成果の概要】
電極―分子―電極構造は分子ジャンクションと呼ばれ分子デバイスの基本構造であり、分子ジャンクションの機能開発をすることで高機能な分子デバイス開発が進展することが期待される.これまでに高い構造対称性を有する有機分子ワイヤーに関して広く研究が行われてきた.一方、我々は有機分子ワイヤーに金属錯体をドーピングした有機金属分子ワイヤーが高い伝導性を示すことを明らかとしてきた.今回、高次機能を持つ分子ジャンクションとして分子ワイヤーの非対称化に着目した.分子ワイヤーを非対称化することで電流が流れる方向を制御する整流機能の発現が期待される.本研究では有機金属錯体のうち異なる配位子を持つ,非対称性分子ワイヤーを開発しその機能を検証することを目的とした.
初年度は当初の計画の通り、主鎖が非対称となった分子ワイヤーの設計と合成を検討した.主鎖の中でも電極と相互作用する末端アンカー基に着目し、ピリジン、チオアニソール、アセチレンのうち異なる二種のアンカー基を持つ分子を設計した.ルテニウムジクロライドテトラホスフィン錯体を出発原料とし、対応するアセチリド錯体を逐次的に導入することで目的とする非対称分子ワイヤーを収率よく合成することに成功した.同定は核磁気共鳴装置、質量分析装置、赤外分光装置を用いて行なった.今後は得られた非対称分子ワイヤーの基礎物性を評価するとともに、分子ダイオードとして機能するかについて検討を行う.
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)