オミックス解析を基盤とする栄養と遺伝子発現制御系の相互作用の解明
【研究分野】食品科学
【研究キーワード】
トランスクリプトミクス / ニュートリゲノミクス / プロテオミクス / アミノ酸 / 食餌タンパク質 / 食品安全性 / 転写因子 / データベース / トランスクリプトーム / 遺伝子発現 / 大豆タンパク質 / 低アレルゲン化小麦粉 / 食品の安全性 / インスリン
【研究成果の概要】
食餌タンパク質の効果のトランスクリプトーム解析を進め、タンパク質栄養が脂肪組織の遺伝子発現プロファイルに及ぼす影響の解析を行った。PPARγの発現上昇などがタンパク質栄養悪化時のインスリン感受性上昇に関わっていると予想された。さらに各種動物性タンパク質の機能性の解析を試みた。一方、肝ガン培養細胞系を用いたアミノ酸欠乏の影響のトランスクリプトーム解析とさらにプロテオーム解析を行った。アミノ酸に直接応答して発現が変わる遺伝子を数多く見出すことができ、またその中には転写因子や翻訳制御因子も多く含まれることがわかった。さらに、オミックス解析をアミノ酸の過剰毒性の検討に利用することが可能かどうかを調べた。過剰シスチンの毒性には肝臓や心臓が主要な標的となっていることがわかった。
次にアミノ酸による転写や翻訳の制御系について、より詳細に調べた。タンパク質栄養の影響を仲介するFoxoやトランスクリプトーム解析により重要性が示されたATFなどの転写因子を中心に、その役割を検討した。また、アミノ酸がインスリンシグナルを制御する機構についても、仲介因子IRS-1のリン酸化の制御に着目して調べた。アミノ酸がホスファターゼを調節し、細胞の情報伝達に影響を与える新たな機構を提唱するに至った。
さらに、ニュートリゲノミクスにおけるオミックス解析の新たな方向性を探る目的で、食品の安全性評価へのトランスクリプトミクスの応用を図った。低アレルゲン化小麦粉の安全性が確認され、この手法の有効性が示された。
ニュートリゲノミクス分野を発展させる手段として、データベースの開発と利用が不可欠であると考え、これを作成して公開するに至った。DNAマイクロアレイの生データと文献情報の蓄積を進めた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
吉澤 史昭 | 宇都宮大学 | 農学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2003 - 2005
【配分額】15,800千円 (直接経費: 15,800千円)