アルツハイマー病発症リスク因子の分子病態の理解に基づく認知症先制医療法の開発
【研究分野】生物系薬学
【研究キーワード】
神経変性疾患 / 認知症 / アミロイドβ / リスク因子 / モデル動物 / アルツハイマー病 / 先制医療 / タンパク質凝集
【研究成果の概要】
アルツハイマー病(AD)に対して個々人のリスクを考慮した先制医療を実現するためには、各リスクがどの病態プロセスに影響するか、を明らかにする必要がある。そこで本研究においては、既知のADリスク遺伝子がAβ産生経路(PICALM、BIN1)やアミロイド蓄積に対するミクログリアの応答性(INPP5D、DAP12)に関わることを培養細胞系及びモデル動物において明らかとした。またBIN1がタウ病態伝播に関わることを見出した。更にゲノムワイドスクリーニングからタウ蓄積に影響をあたえる遺伝子を複数同定した。そしてアストロサイトにおける新規リスク因子としてAβ分解酵素KLK7を同定した。
【研究の社会的意義】
本研究においては、これまでに申請者が精力的に進めてきたAβ産生系に加えて、Aβ分解、tau蓄積・伝播、グリア細胞の変調について研究を展開し、各リスク因子の病的役割をシステマチックかつ包括的に理解し、それらの機能制御による抗AD療法の確立を目指し研究を遂行してきた。そして既知のリスク因子の作用点を解明し、Aβからタウ蓄積に至るセントラル病態パスウェイを明確にすると同時に、様々な介入点の可能性を示唆した。更に新規リスク因子KLK7の同定、薬理学的介入方法の確立などに成功した。今後これらの成果を活かすことで、画期的AD治療・予防法の開発につながることが期待される。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2015-04-01 - 2019-03-31
【配分額】45,760千円 (直接経費: 35,200千円、間接経費: 10,560千円)