間葉系幹細胞へのストレスによる骨関節疾患発症メカニズムの解明
【研究分野】リハビリテーション科学・福祉工学
【研究キーワード】
ストレス / 胎生 / 低栄養 / 胎生初期低栄養 / メタボリックシンドローム / 骨関節疾患 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 発生・分化 / 胎生期低栄養 / 行動異常 / 骨・軟骨代謝 / 低栄養ストレス
【研究成果の概要】
妊娠5.5~11.5日まで対照群の40%に給餌量を制限した低栄養ラットの産仔雌に、生後12週齢で卵巣摘出術を行ったところ、生後34週齢まで過度の運動負荷などを与えなければ、骨関節疾患特有の変化は認められなかったが、高度肥満に陥ることが明らかとなった。また、血糖値や循環コレステロール値は正常範囲であったが、肝臓の中性脂肪上昇や肝表面に点状の黄白斑が確認されるなど、胎生初期低栄養ストレスにより非アルコール性脂肪性肝疾患を引き起こすことが示唆された。加齢性運動器疾患とも深い関わりを持つ「肥満」ならびに「メタボリックシンドローム」が、低栄養ストレス暴露により引き起こされる可能性が示唆された。
【研究の社会的意義】
高齢社会である今、加齢性骨関節疾患やメタボリック症候群の増加はQOLの著しい低下や医療費負担増などの点で大きな社会問題となっている。また、本邦では低出生体重児の割合が20年前の約2倍に増加しており、この背景に妊娠前から妊娠中の過激なダイエットが示唆されている。胎生期に低栄養ストレスに曝されることで生後に種々の疾患発症リスクを増加させることが疫学的に示されている。本研究では、まだ妊娠に気付かない時期における幹細胞への低栄養ストレスが、閉経後の高度未満ならびに脂肪性肝疾患などのメタボリック症候群発症リスクが増加することを示した。なかでも非アルコール性脂肪性肝疾患の予防や治療に対する知見を提供した。
【研究代表者】