免疫微小環境によるT細胞多様性創出の分子基盤
【研究分野】免疫学
【研究キーワード】
免疫学 / 細胞・組織 / 胸腺 / T細胞 / 自己免疫
【研究成果の概要】
私たちの体を感染症やがんから守るT細胞は、胸腺にてつくられる。本研究では、胸腺でのT細胞の生成を制御する胸腺上皮細胞に注目し、その分化のしくみと機能を明らかにすることをめざした。様々な遺伝子改変マウスを用いた解析の結果、未熟T細胞に発現する膜型RANKLが髄質上皮細胞の分化に必須であることが明らかになった。また、日本人に高頻度に存在するPSMB11遺伝子多型によって皮質上皮細胞の機能が損なわれ、T細胞の抗原認識が変化することが明らかになった。さらに、特殊なT細胞集団であるγδT細胞にも着目し、γδT細胞の分化を制御する胸腺環境因子およびシグナル伝達分子を明らかにした。
【研究の社会的意義】
T細胞は私たちの免疫系の司令塔であり、その抗原認識能力がつくられるしくみを理解することは、感染防御やがん免疫治療の観点から重要な課題である。本研究では、T細胞の抗原認識を決定づける胸腺微小環境のはたらきについて研究し、胸腺上皮細胞の生成のしくみと機能の一端を明らかにした。特に、日本人に高頻度にみられる遺伝子変異がT細胞の抗原認識と自己免疫疾患リスクに影響を与えることを見出したことは、大きな成果といえる。
【研究代表者】
【研究協力者】 |
澤 新一郎 | |
室 龍之介 | |
岡村 匡史 | |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2016-04-01 - 2019-03-31
【配分額】16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)