血流刺激に反応する血管内皮ミトコンドリアのバイオエナジェティクス
【研究キーワード】
血管内皮細胞 / ATP / ミトコンドリア / 流れせん断応力 / メカノトランスダクション
【研究成果の概要】
細胞や組織が力学刺激を感知して反応することはその機能や生存に極めて重要であるが、その仕組みは十分解明されていない。本研究では血管内皮細胞が血流に起因する流れ剪断応力の情報を伝達する分子機構をミトコンドリアをに焦点を当てた新しい視点から解析した。ミトコンドリア標的型のATPセンサーを発現した血管内皮細胞に剪断応力を負荷すると、ATPが産生した。ミトコンドリアの酸化的リン酸化を阻害すると、剪断応力依存的なATP産生と内因性ATPの放出、ATP作動性チャネルP2X4を介したカルシウム反応が有意に抑制され、剪断応力の情報伝達機構にミトコンドリアのバイオエナジェティクスが重要な役割を果たす事が示された。
【研究の社会的意義】
これまで、細胞が必要とするエネルギーを供給するオルガネラと考えられてきたミトコンドリアに、本研究成果から、力学的刺激をセンシングしてその情報をATPシグナリングとして細胞内へ伝達するという新しい機能の存在を示すことができた。血流センシング機構におけるミトコンドリアの役割を解明する本研究提案は循環系の恒常性の維持や血管病の発生機序の解明に直接繋がり、エネルギーの源であるATPの産生を司るミトコンドリアの作動機構を解明することは生命の動作原理に迫る意義を持つ。以上の研究成果はメカノバイオロジー研究に加えて、バイオエナジェティクス研究の新たな展開に貢献できると考える。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
安藤 譲二 | 獨協医科大学 | 医学部 | 特任教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2019-06-28 - 2021-03-31
【配分額】6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)