定序配列型光学活性ポリエステルの創製と構造・機能特性
【研究分野】高分子構造物性(含繊維)
【研究キーワード】
ポリエステル / 光学活性 / 定序配列型 / 縮重合 / らせん構造 / 定序配列制御 / 高次構造 / 機能特性
【研究成果の概要】
ポリエステルは、学術的ならび工業的に広く研究開発され、重要な高分子材料であり、一般に、対称的な官能性モノマーの縮重合によって合成されている。今までに、生体高分子については、多種類のモノマー単位が定序的に結合させる技術は確立されている。また、ポリプロピレンなどでは、立体特異性の制御において触媒の開発が進んでいる。しかしながら、縮重合系ポリマーにおいては、モノマー単位の定序配列制御は難しいのが現状である。本研究では、定序配列制御された光学活性なポリエステルを合成し、制御された一次構造から発現する特異的な高次構造と機能特性の検討を目的として研究を行った。本研究の第一段階として、不斉炭素を含むモノマーの合成を中心に行った。文献調査の結果、保護基を導入した光学活性なジオールモノマーの選択と合成を行った。保護基については、脱離条件の検討も考えて、数種類の保護基について検討を行った。保護基が導入された非対称な光学活性ジオールモノマーとジカルボン酸モノマーのカップリング合成を行い、定序的に配列制御されたモノマーを得ることができた。また、高次構造発現に必要なジオールの一次構造を設計するために、エチレンおよびプロピレングリコール鎖をスペーサーに有する主鎖型高分子液晶の特性を検討した。相転移挙動とダイナミクスについて、MMR測定、DSC測定及び偏光顕微鏡観察を行った結果、スペーサーに嵩高い分岐メチル基や柔軟でらせん構造を取りやすいエチレンまたはプロピレングリコール鎖のコンホメーション特性により、溶解性の向上、転移温度の低下、そして液晶相安定化を引き起こすことが明らかになった。研究の第二段階では、光学活性非対称モノマーを縮合剤により縮重合して定序配列ポリエステルを合成した。高収率、高重合度となる縮合剤の検討を行った。得られた成果は、定序配列型光学活性ポリエステルの分子設計に役立つものである。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2001 - 2002
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)