眼圧と房水による眼球組織応答と緑内障ー眼圧制御機構とバイオマーカーの探索
【研究キーワード】
緑内障 / 眼圧 / 房水 / 細胞応答 / 圧受容体 / 脂質メディエーター / バイオマーカー / 機械受容体 / 生理活性脂質 / 圧センサー
【研究成果の概要】
本研究開発の目標は、眼圧と房水を介した眼球組織応答と緑内障をテーマであり、当該年度の実績概要は1)眼内生体圧センサーと房水脂質メディエーターによる眼圧制御機構の解明において、TRPV4に着目し、ヒト線維柱帯細胞での受容体分布、In vitro圧伸展刺激、ノックダウンによる受容体機能解析を行った。細胞伸展刺激によりアラキドン酸カスケード活性化とPGE2の放出などのPG産生により組織変化を来し眼圧を下げる機序を解明した。
2)圧による時空間的変化を反映した緑内障のmiRNAと脂質バイオマーカー探索については、miRNAの解析は予算的な問題で進んでいないが、脂質バイオマーカーとしては1)で解明した伸展刺激で放出されるPG産生による眼圧下降をプロスタノイド受容体作動薬を用いてマウスで解明した。1,2)により既存の眼圧下降薬の奏功する根本的な病態とつながる知見を得た。
3)房水と眼圧による緑内障および緑内障術後病態遷移の定量的細胞骨格測定については、房水中に緑内障で増加するTGFβ2を介した細胞骨格変化をmTOR阻害薬で抑制することを証明し、またEP2受容体作動薬での細胞骨格変化も証明し、将来的な緑内障治療薬としての可能性を示唆した。
4)マイクロ流体デバイスを用いた単一眼細胞生体情報センシングと臨床検体分析については、新型コロナウィルスによる大学入構活動制限があり、デバイス開発を行う他学部との共同研究が進まなかった。
1,2,3)より房水を介した慢性あるいは急性圧応答による眼組織変化の時空間的病態解明により、国民病である緑内障の新たな診断技術と治療薬を開発し、失明予防を目指す目的のであるが、眼圧上昇による組織伸展と房水バイオマーカーの発現を見いだし、バイオマーカーによる診断と治療ターゲットに結びつく知見を得たと考える。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
秋光 信佳 | 東京大学 | アイソトープ総合センター | 教授 | (Kakenデータベース) |
本庄 恵 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
木村 麗子 (山岸麗子) | 東京大学 | 医学部附属病院 | 特任研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)