痙縮の脳神経系制御機構:脳卒中片麻痺への運動錯覚による介入試験と脳機能解析
【研究キーワード】
視覚誘導性自己運動錯覚 / 痙縮 / 脳機能 / 理学療法 / リハビリテーション科学 / 運動錯覚 / リハビリテーション / 脳
【研究成果の概要】
最近の我々の前向き介入研究では,KINVIS療法と運動療法を組み合わせて実施することで,脳卒中重度片麻痺患者の痙縮が明らかに低減する結果が得られた(徒手的な臨床検査による)。以上の臨床的現象と,すでに我々が有する脳機能評価との統合的考察による現時点での核心的問いは,「補足運動野や運動前野など高次運動関連領野から脊髄までを含んだ神経回路における機能的変化の結果として痙縮が低減するのではないか」というものである。
2020年度の研究実績の概要は,以下の通りである。
1. 脳卒中後慢性期にある重度麻痺患者において,視覚刺激を用いた運動錯覚と電気刺激との併用療法(KINVIS療法)によって,痙縮が低減し,同様に運動機能が改善することが2019年度までに明らかになった。2020年度はそれらのデータと安静時脳機能結合のデータを用いて,パス解析を実施した。結果として,KINVIS療法による運動機能の改善は,痙縮の改善に起因していることが確認された。また,運動機能の改善に関わる安静時脳機能結合の部位が明らかになった。
2. 痙縮を伴う片麻痺患者では,相反性抑制やシナプス前抑制など脊髄内の抑制回路に異常が生じる。2020年度は,健常者において,KINVIS中のには,相反性抑制とシナプス前抑制について,試験を行った。結果として,KINVIS中は相反性抑制とシナプス前抑制が強まることが示された。
3. 痙縮の定量評価について,2019年度までにオリジナルデバイスを作成し,脳卒中後慢性期にある重度麻痺患者において,KINVIS療法前後の関節運動により生じる抵抗トルクを測定することを試みていたが,2020年度も引き続き症例集積を続けている。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
川上 途行 | 慶應義塾大学 | 医学部(信濃町) | 講師 | (Kakenデータベース) |
新藤 恵一郎 | 慶應義塾大学 | 政策・メディア研究科(藤沢) | 特任准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】45,240千円 (直接経費: 34,800千円、間接経費: 10,440千円)