骨免疫系血球細胞における網羅的機能遺伝子スクリーニング
【研究キーワード】
CRISPR/Cas9 / スクリーニング / 骨免疫学 / 骨免疫 / 造血幹細胞
【研究成果の概要】
血球細胞の分化や機能を制御する遺伝子の同定は疾患治療法の開発に極めて重要であるが、その包括的な理解には至っていない。本研究では 、CRISPR/Cas9法による遺伝子スクリーニングによって骨免疫学に関連する血球細胞の分化および機能発揮に必要な遺伝子の網羅的同定を目的とした。また、病理的条件下において特異的に誘導・活性化される細胞群について、それらの制御因子の同定を目指す 。
①破骨細胞の単一細胞遺伝子発現解析(scRNA-seq)より、破骨細胞の分化段階ごとに発現が上昇する転写因子群を同定し、これらが破骨細胞分化を制御する可能性を検証した。候補遺伝子に対するsingle-guide RNAを設計し、CRISPR/Cas9法を用いたスクリーニングを実施した結果、破骨細胞の分化に必要と示唆される候補転写因子群が同定された。特に転写因子Aは研究報告が存在せず、欠損によって破骨細胞分化が顕著に障害された。転写因子Aについて遺伝子改変マウスを作成し、破骨細胞分化や機能制御に関する詳細な解析を進める予定である。
②滑膜線維芽細胞(SF)におけるRANKLの発現制御機構を解明する目的でRANKL遺伝子のエンハンサー領域に着目した。in silico解析の結果、既知のRANKLエンハンサーに加え、これまでに未報告のエンハンサー領域であるE3が同定された。細胞株を用いた実験からE3領域はRANKLの遺伝子発現を正に制御することが示された。今後、遺伝子改変マウスを用いた解析によりE3領域と関節炎における骨破壊との関連を精査する必要がある。さらに、E3へ結合する転写因子の同定し、創薬シーズの発掘を見据えた研究を展開する予定である。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(開拓)
【研究期間】2021-07-09 - 2024-03-31
【配分額】26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)