肝癌治療抵抗性を規定する幹細胞特性のエピゲノム制御解析
【研究分野】消化器内科学
【研究キーワード】
肝細胞癌 / 幹細胞性 / シングルセル解析 / エピゲノム解析 / 癌幹細胞 / エピジェネティクス / 遺伝子発現
【研究成果の概要】
FACSにより濃縮した肝細胞癌幹細胞様分画の遺伝子解析を行い、幹細胞様分画の特徴的な遺伝子発現プロファイルを明らかにした。すでに他癌種の癌幹細胞に高発現している特徴的な表面マーカー遺伝子は必ずしも発現しておらず、本細胞株での幹細胞様分画に特徴的な表面マーカーが存在することも明らかとなった。シングルセル解析では、個々の細胞の発現レベルにはかなり不均一性が存在することが明らかになり、細胞周期による発現変動が最も大きなファクターであった。少量細胞によるエピゲノム修飾解析ではプロモーターおよびエンハンサーマークの解析により、細胞周期関連遺伝子で転写制御の違いが確認できた。
【研究の社会的意義】
肝癌組織の不均一性の要因の一つである幹細胞特性の分子生物学的特徴を明らかにした。遺伝子発現レベルに加えて発現制御に関与するエピゲノムプロファイルを取得した。ゲノム変異と異なり、エピゲノム制御異常は可逆的な治療介入が理論的に可能であり、新たな治療戦略につながる基盤的情報となることが期待される。また、本研究で候補にあがった新規の細胞表面マーカーは、治療中の癌細胞集団を流血細胞中から間接的にモニターできる可能性を潜在的に有しており、分子生物学的層別化に基づく個別化医療戦略に、あらたな情報を与えることができると考える。
【研究代表者】
【研究協力者】 |
神尾 明日香 | |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2015-04-01 - 2019-03-31
【配分額】4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)