舌痛症患者における疼痛調節機構とレスティングステートの変化について
【研究キーワード】
咀嚼筋筋膜痛 / MRI / コネクティビティ / 筋筋膜痛 / 痛覚刺激 / 脳
【研究成果の概要】
口腔に慢性的に疼痛の生じているBMS患者群と疼痛の無い健常者に対し、侵害熱刺激・非侵害熱刺激による脳の賦活を計測した結果、BMS群右側手掌に与えた条件では背側帯状皮質、前運動野・補足運動野、島皮質、上側頭回、角回、視覚連合野、前頭野に強い賦活が見られた。 同条件でBMS群右側下口唇に与えた結果では、一次視覚野、前運動野・補足運動野、前頭前野背外側部、視覚連合野、紡錘状回、前頭前野、二次視覚野、腹側前帯状皮質、海馬旁回に強い賦活が見られた。脳体積の変化では、VBMの結果からBMS患者は、背側前帯状皮質、島皮質、前頭前野背外側部、眼窩前頭野、膝下野、中側頭回、縁上回、扁桃体、海馬に健常者に比較し脳体積が萎縮していた。これらの部位は、情動系と疼痛に関連する脳部位に萎縮が見られた。
次にこれら部位に関してconn17fによる基底状態の変化は、帯状皮質と島皮質、帯状皮質と紡錘状回、後帯状皮質と紡錘状回、後帯状皮質と淡蒼球、補足運動野と視床のネットワークによる神経回路的な結びつきが減少した。
これらから、舌痛症患者は疼痛修飾に関連する経路や感覚・認知に関する部位およびネットワークに変化が起こり、慢性的な疼痛発現が生じていると考えられる。また、上記部位は疼痛に関連する部位であり、脳体積の変化も見られた。また、BMS群に施行した心理テストPOMSの結果から、BMS群には健常者に比較し、鬱傾向および不安のスコアが高い傾向にあった。この鬱と不安に関与する脳部位は、帯状皮質、島皮質であり、VBMの結果および認知ネットワークの結果と相関していた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
阿部 修 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
今村 佳樹 | 日本大学 | 歯学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)