特異的及び非特異的免疫機能に及ぼすラットの自発運動の影響に関する研究
【研究分野】衛生学
【研究キーワード】
自発運動 / ラット / 感染実験 / 好中球機能 / 生理機能 / 免疫 / 臓器中ミネラル / NBT試験 / トレッドミル
【研究成果の概要】
本研究は2つの実験からなる。当初は平成5年度の実験として非投与実験によりフローサイトメトリィー法による貧食・殺菌能試験をも含む非投与実験による自由運動群と非運動群の特異および非特異免疫実験を考えたがフローサイトメトリーによる貧食・殺菌能試験が今迄に発表された方法ではうまくいかないことがわかり、その測定手技の開発から始めなくてはならず実験が大幅に遅れた。そのためフローサイトメトリーを用いない平成6年度の実験であるサルモネラ菌投与による運動の効果を優先させた。その結果特異免疫に関与するリンパ球機能を主にみる幼若化反応やリンパ球のサブクラスにはあまり大きな影響がなかったが、非特異免疫に大きな役割をはたす好中球の貧食殺菌能で自由運動の効果が認められた。すなわち、サルモネラ菌投与30分後には好中球の貧食・殺菌能の効率化が自由運動群で認められ、その後14日目でもなお強い相関関係を示した。これは適度な運動が異物の効率的処理とむだな活性酸素産生を阻止する可能性を示唆していることを示す。その他肥満抑制効果や脂肪肝抑制効果も示された。平成6年度は自由運動の他にトレッドミルによる強制運動の効果をも調べたが運動期間が3カ月半と短かったせいかフローサイトメトリ法による各種免疫細胞に与える影響も含めて、特異・非特異ともに何ら運動による差が認められなかった。しかし、強制運動が運動の効果というよりストレスによる影響か大きなこと、また免疫能にいずれ影響するであろう胸腺と脾臓の萎縮や栄養吸収阻害を示す知見がえられた。
【研究代表者】