一般住民中のタバコ依存症の頻度、危険因子およびスクリーニング法に関する疫学的研究
【研究分野】公衆衛生学・健康科学
【研究キーワード】
タバコ依存症 / 有病率 / 危険因子 / スクリーニング法 / 疫学調査 / 構造化面接 / スクリーニング
【研究成果の概要】
(1)タバコ依存症の有病率および危険因子:岐阜県T市の35歳以上住民全員を対象として実施された質問表調査(回収率92%)の男性回答者14,843名のうち生涯に20箱以上の喫煙経験がある12,238名(82%)から200名を無作為に抽出し、WHO統合国際診断面接(CIDI)日本語版を用いて訪問面接調査を実施し170名(85%)から回答を得た。喫煙経験者中のICD10タバコ依存症の割合は43.5%であった。わが国の男性住民では、タバコ依存症(ICD10診断)の生涯有病率は喫煙経験者中で43.5%、全男性住民中では35.7%(=43.5%×喫煙経験率0.82)と推定された。20本以上の1日喫煙本数、1本のたばこを3/4以上喫煙、20年以上の喫煙歴および家族歴がある場合にタバコ依存症の生涯有病率が有意に高かった。(2)タバコ依存症のスクリーニング法の開発・上記調査の回答者に対して面接調査の6ヵ月後、新たに作成したタバコ依存症スクリーニング質問表(以下TDS)を郵送し69名から回答を得た。TDSの信頼性係数は中等度であった。現在喫煙者においてはTDSのスクリーニング効率はFTQより高かった。一方、調査協力の得られた男性喫煙者61名にTDSからなる質問表調査を行ない、その後CIDI面接によってタバコ依存症の診断を行なった。両方の調査に回答した58名において、TDS信頼性係数は0.81と高かった。TDSのスクリーニング効率はFTQより高かった。診断基準によるタバコ依存症の重症度とTDS得点とのピアソン相関係数は0.7以上であった。また禁煙教室受講者では、有意ではないが、TDSに高得点を示した者は禁煙失敗の危険度が高かった。これらの研究からTDSの信頼性は高く、特にICD10タバコ依存症のスクリーニングに有用と思われた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
清水 弘之 | 岐阜大学 | 医学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(C)
【研究期間】1994 - 1995
【配分額】2,000千円 (直接経費: 2,000千円)