視覚系の空間推定処理に関する神経基盤
【研究キーワード】
空間知覚 / 密度順応 / 視覚情報処理 / 実験心理学 / 空間視 / fMRI / 心理実験
【研究成果の概要】
われわれの視覚系の主な目的は「何が」「どこに」あるかを視覚情報から認識することである。申請者は最近、高密度のテクスチャに順応するとその後に呈示される物体間の距離や刺激のサイズの見えが縮小することを発見した。本研究では、この現象について、磁気共鳴機能画像法および行動実験を用いて密度-距離順応に関与する脳部位を特定・検討することを目的とした。研究1のfMRI計測実験ではRapid event-related fMRIにて順応後のテスト刺激に対する脳活動を比較し、順応刺激に対しての活動が視覚野にみられた。また、行動実験では刺激の順応時間とリフレッシュ頻度が順応効果に影響を及ぼすことが明らかになった。
【研究の社会的意義】
本研究から、密度距離順応現象の時間特性が明らかになった。刺激の順応時間とリフレッシュ頻度が、その後に呈示されるテスト刺激の知覚サイズに影響するということは、この順応現象が比較的高次の処理段階で発生していることを示している。具体的には、Walsh(2003)で提案されているようなマグニチュード推定処理に関与しているだろう。マグニチュード推定では、数・時間・空間の「量」が同じ段階・同じ脳領野で処理されていると言われている。今回、順応刺激の時間的な「量」であるリフレッシュ頻度が、その後の空間推定を過小にしており、テスト刺激のサイズ推定はこのマグニチュード推定段階で処理されている可能性を示唆している。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2018-04-01 - 2021-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)