日本人の寿命、疾病発症と遺伝環境の因子効果に関する比較衛生学的研究
【研究分野】公衆衛生学
【研究キーワード】
健康危険度予測 / 予測システム / 肥満評価 / 喫煙行動 / 喫煙意識 / Tリンパ球サブセット / HLA抗原 / 腹囲 / 健康予測プログラム / 動脈硬化症 / 血清laminin / AIDS / 遺伝子多型 / 健康予測 / 危険因子効果 / 寿命 / 疾病発症確率
【研究成果の概要】
昭和62年度、昭和63年度は、主として独自開発した健康予測プログラムを駆使した諸種の健康診断成績の統計解析を行った。同プログラムは、わが国における疫学調査資料に基づいて作成したもので、全体としては成人病発症確率と飲酒・喫煙などの基本的生活習慣の間に種々の関連が認められ、古典的かつ基本的な因子の寄与が大きいことが再確認された。また、健康危険度予測システムと個別システムを併用することにより長寿や疫病防止の効果が期待されること、各危険因子項目ごとに適切な観察期間を設定する必要があることなども判明した。平成元年度は、これに加えて肥満評価に対する研究、国際比較研究の一環としての喫煙行動および喫煙評価に関する日韓比輔研究、さらに生体試料としての血球とくにリンパ球を用いた健常日本人の免疫遺伝学的特性の検討も行った。身長による腹囲の回帰分析の結果は、回帰式の寄与率0.55程度で、在来の指標で普通体とされる者に腹囲を追加測定することが健康異常を認識する上で意義を有するものと考えられた。喫煙の調査について、わが国は韓国に比して喫煙者全体の割合は低かったが、1日21本以上の喫煙者の割合はむしろ多かった。また、わが国では喫煙の害についての知識が普及しているために新たな禁煙の動機づけとはなり難く、他の健康意識を向上させるための方法や禁煙環境の整備拡充が重要であることが示唆された。リンパ球を用いた免疫遺伝学的特性の研究では、Tリンパ球サブセットに関しては、その評価に加齢影響を十分に考慮しなければならないこと、またHLA抗原の分布については、対象が少数であったにもかかわらず、例えばc/ass工抗原のA抗原ではA2とA24の出現率が圧倒的に高く、連鎖不平衡を含めて、日本人の有する特徴的かつ特異的な分布が明らかになり、従来の知見の再確認、および再検討を行った。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
角田 透 | 杏林大学 | 医学部・衛生学教室 | 専任講師 | (Kakenデータベース) |
鎌倉 光宏 | 慶應義塾大学 | 医学部・衛生学公衆衛生学教室 | 専任講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(A)
【研究期間】1987 - 1989
【配分額】14,800千円 (直接経費: 14,800千円)