土地利用・土地被覆の経時変化分析の人類学への応用
【研究分野】人類学(含生理人類学)
【研究キーワード】
環境 / パプアニューギニア / リモートセンシング / 人類学 / 環境破壊 / 環境劣化 / 人口増加 / 伝統農耕
【研究成果の概要】
本研究の対象地域であるパプアニューギニアの3地域のうち、高地タリ盆地および低地ギデラ地域において、グランドトゥルス、グランドコントロールポイントの収集を行った。フィールドワークは、タリ盆地においては2001年12月に、ギデラ地域においては2002年1月に実施した。これらの現地情報を利用することによって、それぞれの地域をカバーするランドサット衛星画像、スポット衛星画像の幾何補正を行い、既存のデジタル地図などとデータベース上で統合する作業を行った。
さらに、タリ盆地においては、ランドサット画像を用いて、1972年、1982年、1995年の土地被覆を、サツマイモ畑、湿地、草地、極相林、二次林の5つに分類することを試みた。この試みによって、盆地全体における草地・耕地の拡大と、二次林の減少が明らかになったものの、同時に、タリ盆地における土地利用の単位が、ランドサット衛星の情報単位(地上部1辺30メートルの四角形)よりも小さい場合が多いことが確認され、人類学的な調査にランドサット衛星を適用するにあたっての限界も明らかになった。
一方、ギデラ地域においては、1997年のデータを利用して、当該地域の環境を、サバンナ、極相林、焼畑、二次林、湿地の5つに分類することを試みている。結果は、いまだ分析中であるが、分類された土地被覆・土地利用のパタンと、研究代表者・分担者が長年にわたって収集してきた人類学的データとの突合せにより、新しい発見があるものと期待している。
総括していえば、ランドサットをはじめとするリモートセンシング衛星のデータは、人類学者が対象とする地域における、全体的な土地利用を把握するためには有効なツールになりうることが明らかになった。特に、地図が整備されていない地域においては、特に重要な役割を果たす可能性がある。しかしながら、その解像度が、特に伝統的な生業に依存して生活する人々の土地利用のスケールに見合うほど高くないことも明らかになった。この点に関しては、昨年より運用が本格化したイコノスなどの超高解像度衛星の利用を検討すべきであろう。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
中澤 港 | 東京大学 | 大学院・医学系研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
梅崎 昌裕 | 東京大学 | 大学院・医学系研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2000 - 2001
【配分額】8,200千円 (直接経費: 8,200千円)