ソーシャルメディアからの患者の悩み・実践知の抽出技術と活用基盤の確立
【研究キーワード】
患者の悩み / 患者の実践知 / ソーシャルメディア / 自然言語処理 / 機械学習 / 深層学習
【研究成果の概要】
本研究では、ソーシャルメディアから得られる患者テキストを患者ケアの充実に活かす基盤づくりを目指して、患者の治療・生活上の悩みに関するエピソード、及び患者の実践知を抽出する自然言語処理(Natural Language Processing、NLP)システムの開発を進めている。本年度(2021年度)は、患者ブログから副作用疑いや悩みの記述を抽出する深層学習モデルの構築に取り組んだ。主な成果を以下に示す。
1)手足症候群疑い患者の抽出手法の構築:手足症候群は抗がん薬の中止につながりうる副作用であり、自覚症状が主な発症シグナルとなる。患者は生活に来した支障をブログに記述・発信することがあり、そこには診療時には表面化しない副作用のシグナルが含まれる可能性がある。本研究では、がん患者ブログから手足部位情報を含む文を取得後、NLPの深層学習手法(Bidirectional Encoder Representations from Transformers, BERT)を用いて、手足症候群疑いの症状を記述しているユーザーを特定する分類器を構築した。
2)乳がん患者の悩み抽出手法の構築:乳がん患者の悩みは多岐にわたり、多角的な支援が必要である。本研究では、BERTを用いて、乳がん患者ブログから5種の悩み(診療の悩み、身体の苦痛、心の苦悩、就労・経済的負担、家族・周囲の人との関係)が含まれるブログ記事を悩みの種類(複数の場合もあり)とともに抽出可能なマルチラベル分類器を構築した。本モデルは、主要な悩みである「身体の苦痛」について特に高い性能で抽出可能であった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
荒牧 英治 | 奈良先端科学技術大学院大学 | 先端科学技術研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)