マルチエージェントモデルによる自治体病院の統合可否と人工知能評判分析の研究
【研究キーワード】
赤字公立病院 / 経済効果 / 病院事業決算状況 / 病院経営比較表 / 地域産業連関表 / 地域経済分析システム / 評判分析 / テキストマイニング / KHcoder / 公立病院 / 統合問題 / 公立病院の経済効果 / 産業連関分析 / 地域経済分析システム(RESAS) / 付加価値率 / ゲーム理論 / マルチエージェントモデル(artisoc) / アンケート調査 / 自治体病院統合 / 満足度調査 / ゲーム立地理論 / 病院の通院時間 / 病院の統合 / 医療マーケティング / 人工知能による評判分析 / 人工社会構築シミュレーション / 行政上の法的問題、倫理的な問題
【研究成果の概要】
令和3年度は、赤字公立病院の経済効果を調べた。公立病院の存続可否に関し,人口規模が比較的類似している四病院の経済効果を算出し,比較検討を行った。その結果,公立八女総合病院と山鹿医療センターの経済波及効果は総収益の約1.5 倍となり,特に公立八女総合病院は80億円の総収益で県内121.71 億円の波及効果があり,生産活動によって必要となる就業者数と就業者誘発数は,医療・福祉で878 人になった。
また,兵庫県の北播磨総合医療センターを成功事例として考察し,集約・統合などによる「高付加価値型」経営が,現在の公立病院経営を改善するための有効な方策であることも明らかにすることができた。
本研究では北播磨総合医療センターの事例から公立・公的病院の統合・再編に賛成するが,各病院のポジションを考え,地域住民の居住可能地域の確保や地域の雇用創出をもたらしていることの重要性を主張した。公立病院の赤字の原因として,長期的には市の過疎化による1 日当たりの入院患者数と外来患者数が減少していることが理由としてあげられ
る。また,診療報酬改定や医師数の減少により高度医療が行われていないことも原因である。さらに公立病院は医業外収益に記される補助金により,赤字及び黒字に多大の影響を及ぼしている。赤字には多くの要因が入っており,一つに特定できない。
統合成功事例の病院では患者数を増やすことだけではなく,医師の数を増やし,高度医療をすることで魅力的な病院にすることができ,総収
益をあげることができた。こういった「高付加価値型」の成功事例が,現在の公立病院の経営の「お金を投入し続ける」残された方向性であり,それは地域でのポジションによると思われる。最近の「技術的水準」の分析から,積極投資,維持,統合縮小など,パターン化した方向性を導くと良いと思われる。
【研究代表者】