マイクロ電極アレイと光学マッピング計測を融合した再生心筋組織機能評価システム
【研究分野】医用生体工学・生体材料学
【研究キーワード】
生物・生体工学 / 再生工学 / 細胞・組織 / 不整脈 / 細胞培養 / 光学測定 / 電極アレイ / 電気刺激 / 再生医療
【研究成果の概要】
近年、「再生医工学」が注目を集めており,遺伝子導入した心筋組織にペースメーカとしての機能を持たせようとする試みなどが進められている。研究の推進には心筋細胞や心筋組織、再生した組織も含めて総合的に機能評価を行う技術の確立が重要である。本研究では、光学計測系と電気刺激・信号計測系とを融合した心筋組織機能評価システムの確立を目標に光学計測系と電気刺激・信号計測系とを融合した以下の心筋組織機能評価システム開発を行った。
(1)光学的膜電位計測とリアルタイムフィードバック電気刺激の組み合わせによる心臓興奮伝播制御システム
(2)培養心筋細胞、幹細胞系に対する集積化電極基板・光学信号統合計測システム
高時間/空間分解能を有する光学計測システムと、多点微小電極による電位マッピングシステムを組み合わせ、動物摘出心標本上において、画像として興奮現象を捉えつつ、興奮波面の進行に同期して任意の時相(脱分極相〜再分極相〜静止電位相)に電気刺激を印加、Make/Break興奮を誘発可能なシステムを開発した。
細胞レベルの電気活動計測には集積化電極基板を導入した。フォトリソグラフィを利用して製作した.電極基板は64個のマイクロ電極(サイズ30x30μm,電極間距離180マイクロμm)を有し、各点での電気信号記録と刺激が可能である。この計測系を冷却CCDによる顕微鏡画像取得システムと結合することにより、電気・光信号融合計測システムとして構成した。
心筋細胞は新生ラットからその心室筋を採取して単離培養を行った。培養開始後3日目から拍動現象が認められ、この活動が成長と共に広範囲に渡る同期拍動現象へと発展していくこと、拍動が活動電位の発生と同期していることを確認した。光学信号は、fluo-4染色による細胞内Ca濃度変動測定を試み、これについても基本的には活動電位発生との同期現象であることを確かめた。
【研究代表者】