筋肥大抑制遺伝子(myostatin)は加齢にともなう筋萎縮を誘導するか?
【研究分野】スポーツ科学
【研究キーワード】
follistatin / myostatin / 加齢 / 骨格筋 / Smad3 / 筋肥大抑制遺伝子 / 筋肉
【研究成果の概要】
加齢にともない筋細胞が萎縮、脱落するために、筋力が著しく衰える。この老化にともなう筋萎縮に筋肥大抑制遺伝子(myostatin)が関与しているかどうかについて我々は研究を進めている。今年度は、骨格筋内のmyostatin、その下流で働くSmad3、ならびにmyostatinの働きを抑制するfollistatinのmRNA発現量が加齢にともない変化するかどうかについてRT-PCR法により調べた。実験には生後3ヶ月齢と24ヶ月齢のC57 Black/6J系雄マウスを用い、各マウスから大腿四頭筋と上腕三頭筋を摘出した。RNAの抽出はセパゾール(ナカライ)により行い、各バンドを定量するためのコントロールとして18SのリボゾーマルRNAを用いた。3ヶ月齢マウスの大腿四頭筋においてfollistatin、myostatinおよびSmad3のmRNAが確認できたが、加齢による有意な変化はみられなかった。一方、上腕三頭筋では、加齢にともないfollistatin mRNAが有意に減少し、myostatinとSmad3のmRNA発現量には有意な変化がみられなかった。これに対してmyostatinにより発現が調節されるMyoD(筋分化促進因子)は、両方の筋において加齢にともない著しく増加した。以上のことから、上腕三頭筋ではmyostatinの働きを抑制するfollistatinが少なくなることで、結果的にmyostatinが筋萎縮を誘導する可能性が示唆された。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2003 - 2004
【配分額】3,500千円 (直接経費: 3,500千円)