サルコペニアに伴う骨格筋の質的変化:メカニズムと有効な対策
【研究キーワード】
一次性サルコペニア / 二次性サルコペニア / 筋線維タイプ / ミトコンドリア / レジスタンス運動 / サルコペニア / 加齢 / 骨格筋 / 電気刺激 / 骨格筋萎縮 / 運動単位 / 結合組織 / 速筋線維 / タンパク質代謝 / レジスタンストレーニング
【研究成果の概要】
それぞれの共同研究者からの2021度の実績をまとめると下記の通りである。
(1)全身炎症誘発性二次性サルコペニアにおけるセラミド合成に関与するNsmafは強力な筋分化制御因子であることを見出した。(2)加齢に伴い発現量の低下するUNC45Bについて,若齢マウスの骨格筋において発現を2週間抑制すると筋力の低下が認められた.一方,筋量には変化が観察されなかった.以上から,加齢に伴うUNC45B発現量の減少は筋質(筋量当たりの筋力)の低下に関与する可能性が示唆された.(3)運動により発現量が低下する新規遺伝子として2810030D12Rikを同定した。一方で、当該遺伝子は老齢によって発現量が上昇することが明らかとなった。予備的な検証では、当該遺伝子は酸化的エネルギー代謝を制御する可能性が示唆された。(4)高齢者を対象とした実験の実施に向けた測定系の検討としてアメリカ合衆国の国内の各学会や研究室訪問にて情報収集を行った。超音波剪断波エラストグラフィを用いた筋の量的・質的評価のためのアタッチメントの作成を南カリフォニア大学と共に開発した。また、今年度は新型コロナウイルス感染症の拡大により、予定していた実験を実施できなかったため、その代わりとして過去に23~82歳の男女より取得した等尺性筋力発揮中の筋電図データの再解析を行った。その結果、力調節安定性(ある一定の力を安定して発揮する能力)の低下が中年期(40歳代以降)から認められること、その原因に協働筋・拮抗筋間の協調性の低下が関わっていること、などが示唆された。
【研究代表者】