生体にみられる振動運動の高精度測定と振動の統合的理解にむけた理論構築
【研究キーワード】
振動 / モータータンパク質 / 細胞 / 心臓 / 鞭毛 / ミオシン / ダイニン / 心筋 / 1分子 / 運動タンパク質
【研究成果の概要】
軸糸ダイニン分子では,Duty ratio(力を出す割合)が低い可能性がある。これを検証するため、ウニ精子鞭毛の外腕にある21Sダイニンの運動アッセイで割合を求めた。ダイニン密度と滑り速度の関係から力を出す割合は約7%となった。このことから、軸糸およびbundle で長さ当たりの力が小さい原因が低いduty ratio にあることが示された。さらに、duty ratio が低い原因を探るため、21S ダイニンのATPase cycle における微小管へのアフィニティーを調べた結果、ADP、AMPPNP、no nucleotide ではダイニンの微小管へのアフィニティーはATP 存在下と比較して3 %にまで低下することが明らかになった。21S ダイニンのATPase cycle 中で強結合を観察できなかったことは、ダイニンのduty ratio が低い原因の一つであることを示唆する。
ミオシンの分子特性の違いは,心臓や筋肉における収縮,弛緩を担うミオシンとアクチンの相互作用に大きな影響を与える.研究では,心筋ミオシン,骨格筋ミオシンの分子特性が如何にこれらの臓器の収縮機能に活かされているのか検証した.以前の研究結果から,心筋ミオシン集合体の力発生は骨格筋ミオシン集合体のそれとは大きく異なることを見出した.更にシミュレーションモデルによって,これらの違いは各ミオシン分子が発するリバースストロークの頻度に依存する可能性が示唆された.この結果を検証するため,光ピンセットを用いた1 分子計測技術により,ADP とリン酸溶液中において負荷に対する心筋,骨格筋ミオシン1 分子の構造変化を評価した.その結果,心筋ミオシン分子はパワーストロークとリバースストロークを発することによって,3つの構造状態間を遷移することが判明した
【研究代表者】
【研究分担者】 |
佐々木 一夫 | 東北大学 | 工学研究科 | 学術研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)