機械学習による人物運動解析の高精度化
【研究キーワード】
姿勢情報 / 動作解析 / 機械学習 / 動的時間伸縮法 / 運動解析 / 深層学習 / 姿勢推定
【研究成果の概要】
スポーツ運動分析や介護姿勢推定を目的として、機械学習により映像から骨格情報抽出を行い、動作整合を自動的に行う手法の高精度化を達成した。基本的な姿勢検出については、前年度までの手法を踏襲した。まず機械学習により映像中の各フレームの人物画像に対して骨格情報を抽出し、関節の座標値と信頼度数値を得る。推定された25個の関節点から重要な12個を選択し66次元の特徴ベクトルを形成する。これらをフレーム毎に求め、空間ベクトルの特徴量として動作推定に用いる。
また、本年度は近接する2フレーム間の関節点とその角度の変化を、時間ベクトルの特徴量として追加した。時間ベクトルの特徴量は12点において、移動距離、移動方向、信頼度の3要素を持つ。姿勢類似度は、2系列の空間ベクトルの差と時間ベクトルの差の積で与えられる。したがって姿勢類似度は0以上の数値であり、0に近いほど類似していることを示す。
姿勢類似度に基づき、2本の映像に含まれるフレームの対応付けを、動的時間伸縮法(ダイナミック・タイム・ワーピング)により決定する。基準となる映像の最初から最後のフレームに対して、探索すべき映像の最初から最後までのフレームに対して、姿勢類似度を再帰的に計算する。
動作整合の実験対象として、野球の投球フォーム及びゴルフのスイングフォームの2種類の映像を選んだ。左利きの選手による運動姿勢との動作整合を求めるために、推定された関節位置の左右反転検出のための判定手法を導入した。評価手法としてケンドールの順位相関係数を用いた。この相関係数は-1から1までの数値を取り、1に近いほど類似フレームの相関が強いことを示す。提案手法は投球データセットに対して、ケンドールの順位相関係数において0.855となり、従来法に比べて0.235改善できた。同様に、ゴルフスイングにおいては0.882となり従来法に比べて0.306改善できた。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)