新規MAPKシグナル誘導遺伝子による細胞機能制御機構と癌におけるその破綻
【研究キーワード】
シグナル伝達 / MAPK / がん / オミクス解析 / 癌
【研究成果の概要】
MAPキナーゼ経路(ERK、p38、JNK経路)は細胞増殖・分化、細胞死、炎症・免疫応答などを司るシグナル伝達システムであり、その制御破綻が慢性炎症性疾患や発癌にも深く関与する。本研究では、MAPキナーゼ経路による生命機能制御機構の全容を解明するとともに、その破綻がもたらす疾患発症メカニズムを分子レベル、個体レベルで解明することを目標に研究を推進している。
今年度は、まず各MAPK経路の活性化に伴って細胞内で特異的かつ有意に発現量が変動する遺伝子を網羅的に探索するため、次世代シークエンサーを用いたトランスクリプトーム解析を実施し、これまでに報告のない複数の新規遺伝子を同定することに成功した。また、これらの遺伝子の発現制御機構の解析も推進し、幾つかの遺伝子に関しては、その転写に寄与する転写因子および転写抑制因子を同定することに成功した。また、これらの分子の生理機能の解析も実施した結果、各分子が細胞増殖・細胞周期制御、DNA損傷応答、アポトーシス制御、mRNA安定性調節などに寄与することを示す知見が得られ、一部の分子に関しては、インタラクトーム解析から特異的結合分子を同定し、その詳細な作用機構も明らかにした。現在、ゲノム編集技術を用いて、これらの分子に対する遺伝子改変マウスの作成を進めている。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)