メタゲノムおよびメタボローム解析を用いた実環境での殺藻細菌の機能解明
【研究キーワード】
天然物化学 / 生物有機化学 / アオコ / 殺藻細菌 / メタゲノム / 殺藻物質 / メタボロミクス / 赤潮 / 植物プランクトン / HAB / 生合成遺伝子 / オミクス解析 / Pseudomonas / メタボローム / 二次代謝産物
【研究成果の概要】
① 同定した殺藻細菌および殺藻物質の実環境での機能解析 Pseudomonas属殺藻細菌をモデルとし、アオコ原因藻類との共培養により産生誘導される殺藻物質を同定するためのメタボロミクス解析方法を確立した。解析の結果、共培養下で特異的に産生される化合物を見出し、赤潮原因藻類に対する殺藻物質として報告のあるpseudopyronine Aであり、またアオコ原因藻類である藍藻Microcystis aeruginosaに対しても顕著な活性を示した。以上の結果から、確立したメタボロミクス法は共培養で機能する殺藻物質を見出す手法として有望と考えられた。
② 赤潮・アオコ発生促進に関与する微生物の存在解析 Pseudomonas属殺藻細菌の機能解析の過程において緑藻および浮草などの光合成生物に対して増殖促進活性を示す植物ホルモン様化合物を見いだした。また、Pseudomonas属殺藻細菌の産物であるpyoluteorinを環境試水に作用したところ、緑藻Chlamydomonasが顕著に増加した。
③ 未分離未培養の殺藻細菌の検出とそれが生産する殺藻物質の同定 メタゲノム解析から水草バイオフィルムがPseudomonas属、Acidovorax属、Stenotrophomonas属、Rhizobium属などの培養可能な殺藻細菌の供給源である事が示された。また、殺藻細菌の割合はいずれも1-3%程度の存在率で十分な活性を示す事、未培養の殺藻細菌候補も存在する事が示唆された。
④ 分離殺藻細菌からの殺藻物質および生合成遺伝子の同定 環境試料から新たにRhizobium属、Stenotrophomonas属、Hydrogenophaga属を主とする殺藻細菌を得て、その培養液に殺藻活性を検出している。そのうちの一つであるRhizobium属細菌の培養液から、殺藻活性を示す炭化水素の結晶を得た。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
木村 信忠 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 生命工学領域 | 研究グループ付 | (Kakenデータベース) |
二階堂 雅人 | 東京工業大学 | 生命理工学院 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2025-03-31
【配分額】17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)