幹細胞工学とゲノム編集の技術を用いた雌性生殖器官の機能・再生・疾患の光による制御
【研究キーワード】
子宮 / 幹細胞 / ゲノム編集 / 再生医学 / 光制御
【研究成果の概要】
令和3年度は,これまでわれわれが行ってきた部分的な子宮の再生・再建の技術と基盤知見をもとに,ラットを用いて子宮機能の中心的な役割を担う子宮内膜の全層再建・再生技術の開発を行った.その結果,脱細胞化子宮内膜骨格 (Decellularized Endometrial Scaffolds, DES)を用いることで,より効率的に子宮内膜の全層再生が促されることが判明した.さらに光遺伝操作と再細胞化(再生)に適した細胞の候補として,様々な子宮内膜由来細胞(正常・不死化・癌細胞)とその幹細胞について検討を行ったところ,ある内膜癌幹細胞株が安定期に幹細胞特性を有することが明らかになり,その幹細胞特性や再生医療への応用について検討した.また子宮全体の再生および子宮疾患の代表である子宮筋腫の病因メカニズムの解明の観点から,ヒト子宮平滑筋細胞に光応答性ゲノム編集ではなく通常のゲノム編集による遺伝操作を加えて増生能力の増強や造腫瘍能の獲得の有無などを検討したところ,一部に変化は見られたが予想していた特性は付与されず,その原因として用いた細胞が平滑筋幹細胞では無かったことが考えられた.また,光応答生ゲノム編集技術の改善・改良と新しい研究ツールや治療法としての妥当性を検証するべく, 着床に関連する挙動を示すものの機能不明の新しい分子を光応答性ゲノム編集の標的分子として基礎的解析も行った.異所性に子宮内膜様病変を作成して子宮内モデルを構築する際に,内膜症候補細胞を搭載したDESや磁性体などを用いて細胞を集積するなどの技術が必要となるが,その技術開発も行った.
【研究代表者】