肺MRIによる肺結節スクリーニングとコンピュータ支援検出ソフトウェアの開発
【研究キーワード】
肺MRI / 肺がん / スクリーニング / 検診 / CAD / AI / 胸水 / 肺 / MRI
【研究成果の概要】
令和3年度は肺結節スクリーニングのためのコンピュータ支援検出(computer-assisted detection,CADeソフトウェア)開発に必要な2種類のデータセット(肺野・気管領域データセット、肺結節データセット)を整備した.肺野・気管領域データセットは,同日に肺MRIおよび肺CTを施行した検診受診者より肺CTで異常が認められなかった20症例に対して複数名の診療放射線技師が体幹,肺野,および気管領域をそれぞれペイント入力した.肺結節データセットは同日に肺MRIおよび肺CTを施行した検診受診者より肺CTで1個以上の肺結節が描出された141症例を抽出し,研究分担者(放射線科専門医)が肺結節の領域をペイント入力した.これらのデータセット構築には研究代表者らが開発したWebベースの統合的プラットフォーム(CIRCUS)を用いた.
構築したデータセットを用いたCADeソフトウェアの初期開発に着手した.具体的には,ディープラーニングを用いた肺野領域抽出ならびに肺結節検出の学習に向けてネットワークの種類の検討を行った.
また派生的な研究として,検診受診者の胸部MRIで検出される胸水に関する研究を行った.肺がんを初めとするさまざまな疾患により胸水が貯留することが知られているが,検診受診者の胸部MRIでは明らかな原因疾患がなくてもごく少量の胸水が描出されていることがある.そこで,胸部MRIで検出されるごく少量の胸水の頻度と他の臨床所見との関係を明らかにする研究を行った.2726名の受診者のうち2052名(73.7%)に胸水が認められた.右胸水は左胸水より有意に頻度が高く,有意に量が多かった.高齢,男性,肥満,高血圧,喫煙はより少ない量の胸水に関連する因子であった.結論として,胸部MRIで偶発的に検出される少量の胸水は高頻度に認められる生理的な所見であることが示された.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
越野 沙織 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 特任助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)