肝発がんを制御するヒストンメチル化修飾機構の解明と治療標的化戦略
【研究キーワード】
エピゲノム異常 / 肝癌 / ヒストン修飾 / DNA損傷 / アポトーシス / G9a / エピジェネティクス / 肝発がん / ヒストンメチル化修飾
【研究成果の概要】
ヒストンメチル化酵素G9aは様々な生体機能、疾患に関わる。我々は肝特異的G9a欠損マウスを用い、G9aが阻害された肝では肝癌発生が抑制されることを見出した。マウス肝を用いた網羅的遺伝子発現解析、クロマチン免疫沈降法の結果、G9aはp53の標的遺伝子発現制御を介して、DNA損傷を受けた肝細胞のアポトーシス誘導に寄与することを見出した。G9aの阻害によりDNA損傷を受けた肝細胞からの肝癌発生が抑制されるため、治療標的として期待される。
【研究の社会的意義】
肝癌は難治癌のひとつであり、特に進行肝癌に対しては未だ有効な治療薬が少なく新規治療法の開発が望まれている。慢性肝炎により誘導されるエピゲノム異常が肝発癌に重要な役割を担うことが知られてきているが、本研究の成果により、エピゲノム修飾因子のひとつであるヒストンメチル化酵素G9aがDNA損傷からの肝発癌に重要な役割を担うことが明らかとなった。G9a阻害剤により肝癌発生を抑制できる可能性があり、肝癌に対する新規創薬のターゲットとなることが期待される。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2018-04-01 - 2021-03-31
【配分額】4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)