腫瘍と免疫細胞の対峙を代謝で読み解く腫瘍微小環境研究
【研究キーワード】
腫瘍浸潤CD8T細胞 / IFNg / 解糖系 / 酸化的リン酸化 / がん細胞 / Nrf2 / p62 / mTORC1 / interferon-gamma / respiratory chain / mitochondria / 腫瘍微小環境 / 代謝 / 腫瘍血管 / CD8TIL / 免疫 / 固形腫瘍 / Glut-1
【研究成果の概要】
メトホルミンにより活性化される腫瘍浸潤CD8T細胞(CD8TIL)におけるNrf2およびp62分子の役割を、Nrf2コンディショナルKOマウス、さらにp62コンディショナルKOマウスを用いて明らかにした。これらのKOマウスにおいては、メトホルミン+抗PD-1抗体治療にもかかわらず腫瘍は増大を続けた。CD8TILのフローサイトメータによる解析の結果、mTORC1の下流分子pS6, 細胞増殖マーカーKi67の発現上昇は全て消失していた。即ち、Nrf2及びp62分子は、CD8TILが増殖するために必須の分子であることが明らかになった。また、CD8TIL及びCD8DCのRNA seqencingによる遺伝子発現解析を行い、メトホルミン、抗PD-1抗体、メトホルミン+抗PD-1抗体治療群における特徴を明らかにした。さらに、同様に腫瘍細胞のRNAseq解析を行い、個々の免疫治療群との関係を明らかにした。腫瘍細胞においてはメトホルミン+抗PD-1抗体治療群において、ミトコンドリア呼吸鎖を構成する分子の系統的かつ大幅な発現低下のあることがわかった。一方、CD8TILにおいてはそのような発現異常は認められなかった。さらに、メトホルミン+抗PD-1抗体治療群における固形腫瘍の退縮効果にはがん細胞自体のIFNg受容体シグナルが正常に作動することが必須であることが新たにわかった。即ち、B16fucciδIC というIFNg受容体の細胞質ドメインを一部欠損した遺伝子の過剰発現細胞では、治療効果が全く消失していた。B16fucciという野生型腫瘍細胞との比較において 、その代謝産物について質量分析計を用いて解析することにより、治療効果と代謝産物の関係が一部明らかになった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
城口 克之 | 国立研究開発法人理化学研究所 | 生命機能科学研究センター | チームリーダー | (Kakenデータベース) |
菱木 貴子 | 慶應義塾大学 | 医学部(信濃町) | 講師 | (Kakenデータベース) |
久保 亜紀子 | 慶應義塾大学 | 医学部(信濃町) | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】43,810千円 (直接経費: 33,700千円、間接経費: 10,110千円)