卵巣癌における相同組換修復欠損に着目した新規分子標的治療法の探索
【研究キーワード】
卵巣癌 / 分子標的薬 / ゲノム解析 / 相同組換修復欠損 / ネオアンチゲン / 卵巣高異型度漿液性癌 / 免疫チェックポイント阻害剤 / TP53 / MDM2 / PI3K / DNA修復 / 分子標的治療 / PARP / 相同組換え修復不全 / BRCA1/2 / 変異シグネチャー / 相同組換修復 / PARP阻害剤 / バイオマーカー
【研究成果の概要】
(1) 卵巣漿液性癌において、PARP阻害剤の感受性を高めるエピジェネティックな分子標的治療法を探索し、SMYD2が治療標的となることを見いだした。卵巣漿液性癌において、網羅的なゲノム解析を行い、相同組換修復欠損の有無による分類を行った。相同組換修復欠損を示さない群において、遺伝子変異頻度、ネオアンチゲン量、HLA-class1発現の関連を明らかとした。ネオアンチゲン数が多く、かつHLA-class I 発現高値群が最も予後良好であった。
(2) 卵巣明細胞癌細胞株において、MDM2阻害剤おPI3K/mTOR経路阻害の併用療法が相乗的な抗腫瘍効果を示すことを見いだした。
【研究の社会的意義】
卵巣癌におけるゲノム・エピゲノム異常に基づき、治療標的分子を同定し、新たな個別化医療につながる可能性のある知見を報告した。
相同組換修復と関連するような分子標的治療法は他がん種でも注目されており、卵巣高異型度漿液性癌における本研究成果に基づくサブタイプの同定や分子標的治療法の探索が、将来的な卵巣癌のPrecision Medicineの発展に寄与すると期待される。相同組換修復異常と関連する変異シグネチャーとの相関についての知見は、知財申請につなげており、新規の検査法につながることも期待される。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2018-04-01 - 2021-03-31
【配分額】4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)