難治性視神経疾患の疫学ならびに分子・細胞学的研究
【研究分野】眼科学
【研究キーワード】
レ-ベル視神経症 / ミトコンドリアDNA / ヘテロプラスミ- / 11778変異 / MRI / VEP / イデベノン / 3460変異 / 14484変異 / 遺伝子治療 / レーベル視神経症 / 点突然変異 / ヘテロプラスミー / 遺伝的異質 / SSCP / PCR
【研究成果の概要】
日本人レ-ベル視神経において、ミトコンドリアDNA変異を検討した結果、primary mutationのうち3460変異が3家系、11778変異が47家系、14484変異が4家系にみられた。欧米と異なり、11778変異は高率に認められた。欧米でもこれら3つの変異がレ-ベル視神経症の80%以上を占ることから、特有の変異を考えられる。secondary mutationのうち3394変異が2家系、7444変異が1家系、13078変異が4家系にみられた。日本人においてはsecondry mutationの保有率は低く、欧米患者とは異なる遺伝子変異型を示した。ミトコンドリア病においては野生型と変異型のDNAが混在するヘテロプラスミ-がみられるが、レ-ベル視神経症においては多くの症例で変異型が95%以上を占るホモプラスミ-である。レ-ベル視神経症におけるヘテロプラスミ-の意義を検討するために、新たにPCR-SSCP法を応用し定量化した。1178変異をもった36家系のうち5家系にヘテロプラスミ-がみられ、変異型DNAが60%以下であれば視神経症を発症しにくいと思われた。臨床型の検討では欧米の症例とほぼ同じであり、11778変異患者の視力回復率は6%であったが、14484変異患者は75%とかなり高率であった。急性期の病態の検討では、FVEP上潜時の延長よりも振幅の低下が著名であった。MRI上球後の変化は乏しかった。従って、特発性視神経炎とは病態が明らかに異なることが判明した。本疾患には有効な治療法はないがCoQの誘導体であるイデベノン投与が検討され、1例に視力回復がみられ、今後検討される薬である。
【研究代表者】