三次元培養法を用いた新たな抗癌剤感受性試験の有用性の検討-女性性器癌に対する有効薬剤の選択を指向して-
【研究分野】産婦人科学
【研究キーワード】
HDRA / 卵巣癌 / 抗癌剤感受性試験 / シスプラチン / apoptosis / TUNEL染色 / Taxol / SN-38 / 三次元培養法 / 最適カットオフ濃度 / 判定可能率 / 予測率
【研究成果の概要】
HDRAはCDDPの卵巣癌に対する臨床効果を予測率81%という高い確率で予測しうることが示されている。そこで、臨床での奏効度との高い相関が得られる一因としてapoptosisに着目し、腫瘍片中に誘導されたapoptosisを免疫組織化学染色(TUNEL染色)により検出、薬剤感受性との関連性について検討した。HDRAにおいてカットオフ値(25μg/ml)以下でCDDP高感受性と判定された症例で、薬剤無処置群ではapoptosis細胞はほとんど観察されなかったが、CDDP処理群では観察された。また、感受性の異なる卵巣癌検体についてCDDP6.25μg/mlで処理した場合高感受性例ではapoptosis細胞が多くみられたのに対し、低感受性例では殆どみられなかった。そこで、各検体におけるapoptosisの発現率を調べ、HDRAにおけるCDDPに対する感受性とapoptosisの関係について検討した。CDDP6.25μg/ml処理時の腫瘍細胞1000個あたりのapoptosis細胞数の割合をapoptotic indexとして高感受性例7例、低感受性例14例について比較したところ、高感受性群の値は有意に高く(P<0.01)、HDRAにおける感受性をよく反映していると考えられた。以上のことより、HDRAで測定される感受性は、主としてapoptosis誘導能をはじめとする殺細胞効果を反映していることが示唆され、これが臨床における奏効度とよく相関する一因と考えれた。さらに、新規抗癌剤であるTaxol.SN-38(CPT-11の活性体)の卵巣癌に対するIC_<50>値と臨床効果との相関をHDRAにおいて検討した。Taxolではmean±SD=49.9±38.6μg/ml(n=28)、SN-38では0.663±0.904μg/ml(n=14)という結果が得られた。よって、両薬剤はHDRAを用いた感受性試験による評価が可能であることが示唆された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
青木 大輔 | 慶應義塾大学 | 医学部 | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽的研究
【研究期間】1996 - 1998
【配分額】2,300千円 (直接経費: 2,300千円)