胆汁排泄路を有する肝組織モデルの作成
【研究分野】恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
【研究キーワード】
小型肝細胞 / 胆管上皮細胞 / 毛細胆管 / 胆管 / ヘリング管 / 胆汁 / 組織構築 / 細胞培養 / 管腔形成 / 成熟化 / 細胞外基質 / マイクロデバイス / バイオリアクター / 人工肝臓 / 組織形成 / 肝前駆細胞
【研究成果の概要】
マウス肝細胞(または小型肝細胞)と胆管上皮細胞をコラーゲンゲル上で共培養し、Matrigel含有コラーゲンゲルを重層することで、毛細胆管と胆管が接続した胆汁排泄路を持つ類肝組織を形成する手法を開発した。
小型肝細胞の親細胞に相当するラット肝前駆細胞(Hepatocytic parental progenitor cells; HPPCs)はlaminin111依存性にIntegrin beta1シグナルを介してself-renewal能が維持され、不均等分裂により娘細胞を産生することを見出した。肝細胞をin vitroで増幅させる手法の開発に繋がる。
【研究の社会的意義】
肝細胞中にself-renewal能を有する肝前駆細胞(HPPCs)が存在することが分かり、ヒト肝細胞中からもHPPCsを分離増殖させられる可能性がでてきた。またヒト肝細胞を増殖させ胆管を組み込んだ類肝組織を形成することにより、排泄された胆汁が胆管に流れ、その毒性が軽減され、高分化機能を維持したまま長期培養出来ることが期待される。更に、生体内と同様に代謝され胆汁中に排泄された薬剤代謝物の回収が可能になる。この成果は、これまで動物個体を使うしかなかった創薬研究のkeyになるADMEをin vitroで代替出来る可能性と人工臓器の開発に繋がる可能性を示している。
【研究代表者】