悪性腫瘍における酸素代謝の解析と腫瘍酸素加による治療効果増強機構の解明
【研究分野】胸部外科学
【研究キーワード】
腫瘍循環 / 酸素拡散係数 / 組織酸素分圧 / 低酸素状態 / 癌 / 低酸素 / 血管新生 / 酸素拡散係 / 細動脈 / 酸素消費率 / 酸素ガス / 人工酸素運搬体
【研究成果の概要】
腫瘍組織では、腫瘍循環が未熟なため低酸素を呈する。細動脈における酸素拡散について、担癌状態でどのように変化するかを測定した。パラジウムコプロポルフィリンの燐光の減衰による組織酸素分圧測定を行った。Nd-YAGパルスレーザーで励起を行い、ピエゾ素子を用いた移動ステージ上に動物を固定し、細動脈壁の酸素拡散係数を求める方法を開発した、Balb/cマウス背部に設置したDorsal skinfold chamberから観察される内径40~70μm壁厚20μm前後の皮下細動脈を観察した。Balb/cマウスおよびマウス乳癌細胞であるMMT060562を用いた。ドナーマウスより皮下移植腫瘍を摘出、1ミリ大の移植片としてWindow内に移植し、48~72時間後に直径が2mm程度となったところで腫瘍近傍の細動脈について測定した。また、左上肢腋窩部に腫瘍細胞浮遊液を移植、移植後9~10日後に腫瘍径が10mmを超えた時点でマウス背部にWindowを設置、4日後に測定を行った。細動脈壁酸素拡散係数は無処置群では5. 3±1. 1×10^<-11>[(cm2/s)(ml O_2. cm^<-3> tissue. mmHg^<-1>)]であった。腫瘍移植後の酸素拡散係数はウィンドウ内腫瘍群では3. 9±0. 4×10^<-11>[(cm2/s)(ml O_2. cm^<-3> tissue. mmHg^<-1>)]、腋窩腫瘍群では3. 1±0. 6×10^<-11>[(cm2/s)(ml O_2. cm^<-3> tissue. mmHg^<-1>)]であり、担癌動物において明らかに酸素拡散係数が低下し、細動脈領域で酸素を通しにくくなっていることが明らかとなった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
塚田 孝祐 | 慶應義塾大学 | 理工学部 | 講師 | (Kakenデータベース) |
河野 光智 | 慶應義塾大学 | 医学部 | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2009 - 2011
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)