間葉系幹細胞移植による皮膚創傷の瘢痕化抑制
【研究分野】形成外科学
【研究キーワード】
山間葉系幹細胞 / 皮膚 / 創傷 / 癩痕 / 形成外科 / GFPラット / Scarless wound healing / 線維芽細胞 / 間葉系幹細胞 / 移植 / 皮膚切開創 / 瘢痕 / 臨床応用 / GFP
【研究成果の概要】
私たちは間葉系幹細胞(MSC)を皮膚創傷に移植すると瘢痕化が抑制されるメカニズムの解明を行ってきた。ラットの骨髄由来間葉系幹細胞はHGFを発現していて、その結果TGF-β1による線維化が抑制され、瘢痕形成が抑制された可能性が示唆された。MSC移植創の免疫染色では創傷治癒の炎症期の炎症細胞浸潤が抑制され、瘢痕形成抑制に寄与している可能性が示唆された。2006年3月からはGFPラットの培養細胞を用いた研究も開始した。その結果、創に移植したGFPラットのMSCは創の肉芽底面と周囲の真皮直下に分布しており、創傷治癒に影響を与えていると考えられた。MSCは創に移植されると大部分がビメンチン陽性となり、線維芽細胞様の細胞に分化していると思われた。また、筋線維芽細胞に分化しないことから、瘢痕拘縮抑制に有利に働いていると考えられた。CD31陽性細胞が出現してきていることから周囲の血管形成に何らかの影響を与えている可能性が示唆された。
これまでに、皮膚創傷に対する様々な因子やMSCの作用についての報告は多いが、創傷の治癒期間を早める目的の研究が多く、瘢痕を目立たなく治癒させるための研究は胎仔を利用したものに散見されるのみである。形成外科領域ではヒトにおいてScarless wound healingはまだまだ不可能であると考えられてきたが、本研究は、その長年の目標を達成することが目的である。これまでにラットとブタにおいて分子生物学的検討を十分に行ってきており、ヒトにおいても同様の結果が得られる可能性が高いと考えられる。そして、皮膚創傷の瘢痕化を抑制することで先天性疾患の治療や美容形成手術に大きく貢献することが期待される。
【研究代表者】