Dendritic cell除去による同種血管の生着率向上に関する実験的検討
【研究分野】胸部外科学
【研究キーワード】
樹状細胞 / 凍結保存 / 同種移植 / 血管移植 / ラット / 同種血管 / 腹部大動脈
【研究成果の概要】
10〜12週齢の近交系ラット(LewisおよびBrown Norway)を実験動物として用いた。新鮮大動脈グラフトは、摘出・洗浄後、腎動脈下に同所性に移植した。凍結保存グラフトは、摘出・洗浄後、プログラム冷却・1週間保存し、移植した。移植前の新鮮グラフトの観察では、Dendritic cellは外膜側にわずかに陽性、クラスI抗原が弱陽性であった。凍結保存グラフトでは、クラスI抗原が弱陽性で、走査電顕で血管内皮細胞の変形や配列の乱れがあったが、脱落は著明でなかった。Dendritic cellは認められなかった。以下に示す4群の大動脈移植モデルを作成した。(1)新鮮グラフト同系移植群、(2)凍結グラフト同系移植群、(3)新鮮グラフト異系移植群、(4)凍結グラフト異系移植群。各群で10例の移植を行い、5例ずつ2グループ(グループA:移植2週間後に犠牲死、グループB:移植1ヶ月後に犠牲死)に分けた。同系移植(1)(2)では、グループA, Bともに、全例グラフトは開存していたが、異型移植群(3)では、グループAで3例開存していたが、グループBでは1例のみ開存していた。異型移植群(4)では、グループA, Bとも、全例でグラフトは開存していた。摘出した移植大動脈の観察では、同系移植群では外膜側に軽度の炎症細胞浸潤を認めたが、Dendritic cellは移植前新鮮グラフトと明らかな相違はみられなかった。凍結保存群ではグラフトの再内皮化が見られ、グループBでは、ほとんど再内皮化が完成していた。異型移植群(3)では、Dendritic cellを含めた炎症細胞浸潤、クラスI、II抗原とICAM-1の発現が著明であった。異型移植群(4)では、炎症細胞浸潤は外膜側にやや強く見られたが、Dendritic cellはわずかで同系移植と同等であった。クラスI抗原の発現はやや強かったが、クラスII抗原の発現は弱く、拒絶の程度がかなり軽度であると考えられた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
中島 淳 | 東京大学 | 医学部・附属病院 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1999 - 2001
【配分額】3,500千円 (直接経費: 3,500千円)