高次脳機能測定のための新しいシステムの開発-fMRIとMEGの統合測定システム-
【研究分野】脳神経外科学
【研究キーワード】
正中神経電気刺激 / 機能的MRI / じゃんけん / 脳磁図 / 近赤外線トポグラフィー / 高次脳機能 / 脳虚血 / 補足運動野 / 感覚運動野 / fMRI / MEG / 統合システム
【研究成果の概要】
本研究の目的は、MEG、fMRI、NIRSらを組み合わせ、統合的に高次脳機能評価を行いうるシステムの実用化である。実用可能なタスクとして、以下の3つを行った。
1)正中神経電気刺激
まず、fMRIにて、母指が動き出す手前と動いている時とで比較したところ、一次感覚野において後者は前者よりも前内方に移動する傾向があったが、有意差はなかった。続いて、両側正中神経電気刺激を行い、i)同時、ii)100msecのdelay、iii)30msecのdelayの3条件による大脳の賦活反応について実験を行った。反応の強さおよび分布の傾向としては、同時刺激と100msec delay刺激の両条件にはあまり差がみられない一方、30msec delay刺激では、大脳皮質運動感覚野における活動が縮小する傾向がみられた。全頭型MEGにて同様のタスクを行ったところ、30msec delayでは76msec付近の波が消失する傾向にあった。
2)後出し負けじゃんけん
負け、あいこ、勝ちの各条件で比較検討したところ、すべてのじゃんけんで補足運動野に賦活反応が見られたが、あいこが最小、負けが最大であった。また、「グー」「パー」というカナ文字を見せてじゃんけんを行わせたところ、絵を見た時よりもarea37の活動範囲が狭い傾向にあった。さらに、「負け」と「勝ち」のcontrastを検討したところ、左補足運動野に有意なシグナルが観察され、ステレオタイプな動作の抑制に同領域が関与していることが示唆された。ただ、じゃんけん運動は予想に反しノイズが大きく、MEGによる測定ができなかった。
3)頚動脈狭窄患者の術前後高次脳機能評価
頚動脈狭窄患者のステント留置術前後にNIRSを用いて血中Hb濃度の変化を測定した。手の開閉運動負荷中、傍M1領域では術前にHb濃度が著明に上昇したが、術後にはほとんど上昇せず、いわゆるsteal現象がみられた。
【研究代表者】