神経スパインの小ささが生み出すロバスト情報コード
【研究キーワード】
スパイン / ロバストネス / ゆらぎ / 少数性 / 小体積効果 / 情報コード / ニューロン
【研究成果の概要】
神経細胞のスパインは、他の神経細胞から送られた情報を処理する場であり、体積が極端に小さいため分子数が少なく反応がゆらいでしまう。なぜこのように小さくても情報をロバストに処理できるのであろうか。本研究では、数理モデルを作成して、スパインの小ささが生み出すロバストな情報コードのメカニズムを明らかにした(鳥取ら、Phys.Rev.E 2019)。またスパインのゆらぎは同一スパイン内での細胞内のゆらぎである。一方、スパイン間、細胞間のばらつきも存在する。同一細胞内でのゆらぎはノイズである一方、細胞間のばらつきは情報として機能することを見出した(和田ら、CellRep., 2020)。
【研究の社会的意義】
計算機などの人工システムでは情報を処理するために膨大なエネルギーを必要とする。たとえば、スーパーコンピュータ「京」の消費電力は3 千万ワットである。一方、最近の脳科学の研究から、我々の脳の消費電力は20ワットであることがわかっているが、スーパーコンピュータでは、人間の脳のような柔軟性に富んだ複雑な思考能力や演算能力を省エネルギーで獲得することは難しい。本研究で明らかにした小さい退席によるゆらぎを利用した情報コードの設計原理によって、画期的にエネルギーコストが安い情報処理システムの基盤の基礎原理となるかもしれない。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2019-06-28 - 2021-03-31
【配分額】6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)