小児急性骨髄性白血病の動物モデルを用いたDIC発症の分子機構の解析
【研究分野】小児科学
【研究キーワード】
白血病 / 播種性血管内凝固症候群 / NOD / SCIDマウス / MLL遺伝子再構成 / 遺伝子再構成 / 癌 / 細胞・組織
【研究成果の概要】
われわれは重症DICを合併した小児急性骨髄性白血病(AML)症例からMLL遺伝子再構成を伴う細胞株KOPM-88を樹立し、これを利用し独自の小児AML動物モデルを確立した。小児削L細胞株KOPM-88のNOD/SCIDマウスへの移植により、白血病浸潤に伴うDICの発症について解析した。NOD/SCIDマウスにKOPM-88細胞を尾静脈から静注、あるいは腹腔内投与した。またDICを誘発すべく、さらにTNF-α,TissueFactor, G-CSF, GM-CSF, M-CSF, IL-7等のサイトカインを投与することによりKOPM-88細胞の一次穎粒放出を誘導させ、一定期間後に血小板数、APTT、PT、フィブリノーゲン、D-dimer値の測定の上、解剖し、DICについて病理学的に解析した。その結果、KOPM-88細胞は、NOD/SCIDマウスの骨髄、脊髄、肝臓など諸臓器に白血病浸潤を認め、マウスは5-7週間後に半身麻痺を来した。しかし、血液学的解析では、血小板の減少傾向はみられたものの有意な低下はなく、D-dimerも有意な上昇は見られなかった。解剖所見では、出血傾向や諸臓器におけるフィブリン血栓は明らかでなく、サイトカインによる一次穎粒放出誘導群においても差異は認められなかった。これらの結果は、ヒト白血病細胞がDICを合併する分子機構に種特異性が存在すること、あるいは免疫不全マウスにおける免疫担当細胞の欠如がDICの発症に必要である可能性を示唆していると考えた。また、フラボノイドとその異性体がヒト造血細胞・白血病細胞のMLL遺伝子再構成を惹起するか否かを異種移植系で検討したところ、PCR法、FISH法で検出できる再構成は見出されなかった。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2004 - 2006
【配分額】2,800千円 (直接経費: 2,800千円)