体内時計と光、潮汐による生殖リズムの形成機構とその可塑性
【研究分野】形態・構造
【研究キーワード】
生殖リズム / 体内時計 / 松果体 / 視床下部 / 月周リズム / 潮汐サイクル / 神経ホルモン / メラトニン / 脳・神経 / 潮汐リズム
【研究成果の概要】
クサフグの松果体では、約800個の遺伝子が約15時間周期で発現変動することが推定され、潮汐サイクルに同調する新規の体内時計の分子基盤情報が得られた。また、松果体から分泌されるメラトニンは、月明かりに応じて分泌量が変化し、生殖機能を調節する脳ホルモンの合成量を月齢に伴って調節することが示唆された。さらに野外調査の結果、クサフグの産卵リズムは生息場所の潮汐サイクルや雌雄によって異なることが明らかになった。
【研究の社会的意義】
生物はそれぞれの生息環境に合わせて繁殖戦略を発達させており、中でも多くの生物は独自の生殖リズムを持っている。生物リズムの調節において体内時計は重要な役割を持っているが、そのしくみは約24時間周期の概日時計ついて詳細なしくみが明らかになっているだけである。本研究では、浅海域や潮間帯に生息する多くの海洋生物が持つ月齢と潮汐サイクルに合わせた生殖リズムを調節する新規の体内時計の分子基盤を明らかにすると共に、その可塑性を見出した。本研究成果は、生物多様性を作り出すしくみの理解につながるものとして、その学術的また社会的意義は大きい。
【研究代表者】