T細胞特異的micro RNAの機能解析から迫る炎症性腸疾患新規治療法の開発
【研究キーワード】
Th17細胞 / 腸管免疫 / miRNA / 炎症性腸疾患 / マイクロRNA / JAK / STAT / 1細胞遺伝子発現解析 / Th17 / IBD / 粘膜免疫 / micro RNA / 潰瘍性大腸炎 / クローン病 / エピジェネティクス
【研究成果の概要】
炎症性腸疾患(IBD)の病態には、T helper (Th)細胞の中でも特にIFN-g産生性Th1細胞およびIL-17産生性Th17細胞の関与が報告されてきたが、これまでのIFN-gやIL-17を標的とした生物学的製剤の効果は期待通りの効果に乏しく、IBDの治療には単一のエフェクターサイトカインやT細胞サブセットではなく、Th細胞サブセットの垣根を超えた炎症惹起性シグナルを標的とする全く新しい治療アプローチの開発が必要である。申請者は、各種の血球系細胞におけるDeep-sequencingを用いたmiRNAの網羅的発現解析よりスクリーニングを行い、miR-221/2がTh1, Th17細胞に選択的に発現する事が予想された。
今年度は、Naive T細胞、Th1, Th17, TregにおけるmiRNAの発現を網羅的に検討したところ、Th1、Th17(23) (IL-6 + IL-23により誘導したTh17)においてはmiRNA-221/2は高発現していたが、Naive T細胞やTGF-bにより誘導されたTh17(b)およびiTregではほとんど発現が見られなかった。
次に、Th1、Th17細胞の分化に重要なIL-6、IL-12、IL-23の下流の転写因子である、STAT3、STAT4、Histone markの分布をChIP-seqを用いて検討した。予想通り、miR-221/2の遺伝子座の上流に、STAT3、STAT4結合領域を複数認めた。
また、生体内におけるTh17細胞の機能を検討するために、申請者らは、miR-221/2欠損マウスを作成し、腸炎におけるmiR-221/2欠損の影響をデキストラン硫酸塩(DSS)誘引腸炎モデルを用いて検討したところ、miR-221/2欠損マウスでは、コントロールマウスと比して著明な腸炎の悪化を認めた。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)