腎臓における糖代謝調節機構とその破綻の分子メカニズム
【研究キーワード】
糖尿病 / 腎臓 / 糖新生 / インスリン抵抗性
【研究成果の概要】
腎臓近位尿細管における糖新生は、インスリンシグナルとグルコース再吸収の2つの機構によって調節されていることが明らかとなった。すなわち絶食時、原尿中からの糖の再吸収が低下するとNADH/NAD+比が低下しSirt1が活性化され、PGC1αの脱アセチル化/活性化により糖新生関連酵素の発現が上昇する。同時に絶食時の血中インスリンレベルの低下に伴うインスリン受容体シグナルの減弱はFoxO1を活性化し、糖新生関連酵素の発現を増加させる。一方絶食時には糖の再吸収はSirt1の活性低下/PGC1αのアセチル化を介して、インスリンシグナルはFoxO1の不活性化を介して糖新生を抑制していることが明らかとなった。
【研究の社会的意義】
本研究は、長年解明されていない“腎臓における糖新生の調節機構とその破綻の分子メカニズム”を解明しようとするものであり、極めて独創性・新規性が高く、また、肥満・2型糖尿病患者が直面している病態を解明しようとしている点で社会的意義も大きい。本研究は、腎臓の糖代謝調節機構の解明を通してその生理的/病態生理的役割を解明し、腎臓生理の根本原理に迫る斬新なプロジェクトであり、糖尿病や腎不全の予防・進行抑制さらに治療につながる卓越した成果が期待できる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
笹子 敬洋 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 助教 | (Kakenデータベース) |
中村 元信 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2018-06-29 - 2020-03-31
【配分額】6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)